君という鍵を得て、世界はふたたび色づきはじめる〜冷淡なエリート教授は契約妻への熱愛を抑えられない〜

 もうひとつ演出して、

「いったい誰がそんなことを?」

 戸惑う振りをしつつ、噂の出所を確認しようとした。

「誰っていうか、みんな言っているんだよ。今一番ホットな噂になっているよ。まさかそんなことはないって、半信半疑の意見がほとんどだけれどね。だって先生も君も、指輪とかしてないし」

 と、ちらと私の指を見る。

 ひぇえ、みんな私だけでなく聡一朗さんの指までチェックしているんだな。

 結婚指輪は店舗に並んでいるもので間に合わせた。
 けれども、大学に行く時は外していこうと聡一朗さんが言った。
 きっと、噂が広まって、世間が騒がしくなるのが嫌だったからだろう。

 私は、妻らしいことを一切していないから、せめて結婚指輪ぐらい付けて自覚したかったな、と思っていたけれど……やっぱりしていなくてよかった。