君という鍵を得て、世界はふたたび色づきはじめる〜冷淡なエリート教授は契約妻への熱愛を抑えられない〜

涼しげな目元が印象的で、通った鼻筋、引き結ばれた薄い唇、すっきりとした顎のラインが、理知的という雰囲気を作り出している。

でも無表情だと少し冷ややかという感じを覚えて、私はやや緊張した。

この大学の教授さんだろうか。年齢は三十歳前後に見えるけれど、ずいぶんお若い方もいらっしゃるんだな。

「いや。うちの学生が失礼をした。あまりにみっともなくわめいているから見過ごせなくてね。とは言っても、君ももう少し注意して仕事をしてもらいたい」
「はい……! 気を付けます。つい本に気を取られてしまって……。私の不注意のせいもあったんです」
「本ね」

と教授さんは私をしげしげと見つめ、

「ずいぶんと若いようだが、もしかしてうちの学生と同じ年齢くらいか?」
「あ、はい。そうです」
「清掃会社の方?」
「はい」

考えるように少し間を置くと、教授さんは図書館内に戻って行った。私もおずおずとついていく。

「どの本だ?」
「あ、あの、新刊の絵本です」

私が指さすなり、教授さんはその絵本を持って受付に行くと手続きをして戻ってきた。そして私に本を差し出した。