君という鍵を得て、世界はふたたび色づきはじめる〜冷淡なエリート教授は契約妻への熱愛を抑えられない〜

「ねえね、君ってあの藤沢教授の奥さんって、ほんと?」

 そう唐突に訊かれたのは、学食で昼食を食べている時だった。

 私くらいの年齢の正規の男子学生さんで、取っている講義で一緒になっている人だ。

 聡一朗さんとのことは、学生は知らないはずだ。

 別の教授さんから聞いたのだろうか? ――と巡らせて、思い出したのは紗英子さんだ。

 私たちの周囲が騒がしくなるように、彼女が少しずつ漏らしているのかもしれない……。

「え? 私が? 違います…!」

 驚きつつ、断固否定。
 唐突に訊かれたにしては我ながらうまい返しだと思う。