君という鍵を得て、世界はふたたび色づきはじめる〜冷淡なエリート教授は契約妻への熱愛を抑えられない〜

 聡一朗さんは今夜も帰りが遅い。

 広すぎる部屋は不安を増長させるだけ。
 窓から見える煌びやかな夜景も、かえって寂しさを感じさせるだけだった。

 簡単に夕食をすませた後もなんだか落ち着かなかったので、気分転換に部屋の掃除をすることにした。

 ひととおりフローリングを磨き、最後に残ったのは聡一朗さんの仕事部屋だった。

 入ることは禁止されていなかったけれども、なんとなく気が引けてあまり足を踏み入れたことはない。

 広い部屋。
 そこにベッドと、ちょっとした家具と、研究用の書籍が詰まった本棚と、OA機器だけが並んでいる。
 大学の研究室とあまり変わらない印象だ。

 けれども唯一、異色を放って部屋に置かれていたものがあった。

 亡くなったお姉さんのご仏壇だ。