君という鍵を得て、世界はふたたび色づきはじめる〜冷淡なエリート教授は契約妻への熱愛を抑えられない〜

「先生だって人間よ。つい若い女にたぶらかされることだってあるわ。言ったでしょう、先生は世界を股にかける方だって。そんな方の伴侶だってそれ相応の人物じゃないといけないのはあなただって解るでしょう? あなた、自分が先生のそんな存在になれると本気で思っているの?」

 ずき、と私の胸が疼く。
 気にかけていることを、言われてしまった。

 そんな私の反応に紗英子さんはめざとく気付いたようで、じりじりといたぶるように続ける。

「じゃああなた、先生がどういう研究をされて、どういう成果を発表されているか、ちゃんと理解できている?」

 そう詰められるとなにも言えない。
 聡一朗さんの研究についてはちゃんと理解しておく必要があると思っているけれど、今日の講義だってちんぷんかんぷんだった。