君という鍵を得て、世界はふたたび色づきはじめる〜冷淡なエリート教授は契約妻への熱愛を抑えられない〜

 姿を確認した途端、私は思わず目をそらしてしまう。

 彼女の冷ややかな無表情には、今にも猛然と襲い掛かってきそうな怒りが滲んでいた。
 落ち着くはずの書庫が、逃げ場のない袋小路に変貌する。

「私、認めないわよ」

 開口一番、紗英子さんは怒鳴りつけるように言った。

「な、なんのことですか」
「とぼけないで。あなたと先生のことよ」

 ドキリ、と胸が痛む。
 紗英子さんは、私が聡一朗さんに関わることをこころよく――そんな程度じゃない、嫌悪していたと言ってもいい。

 まるで、野放しにしていた虫がついに害を及ぼしたのを忌々しがるように、紗英子さんは怒りをあらわにした。