君という鍵を得て、世界はふたたび色づきはじめる〜冷淡なエリート教授は契約妻への熱愛を抑えられない〜




 今日のすべての講義を終えて私が向かった先は図書館だった。

 一日の最後に図書館に行くのが日課になっていた。
 一番好きな場所に一日頑張ったご褒美として。

 特に今日はとても充実した気分だったから、館内を歩きながら自然と鼻歌まで出てしまう。

 向かうのはもちろん宝の山、絵本が眠る地下書庫だ。
 本が所狭しと並ぶだけの空間なのに、ひっそりと静かなここに入ると、不思議と心がほっとする。

 今日借りる絵本はどれにしようかと選んでいる時だった。

 いつも人気のないここに、コツコツとヒールの足音が聞こえてきた。
 どこか高圧的なその音は、まるでターゲットの居場所を承知しているようにリズムを崩さずこちらへ近付いてくる。

 紗英子さんが私に向かって歩いてきていた。