君という鍵を得て、世界はふたたび色づきはじめる〜冷淡なエリート教授は契約妻への熱愛を抑えられない〜




 聡一朗さんの講義の後は空き時間だった。

 小腹も空いたので、大学に入っているカフェで休憩することにした。

 午後のカフェテラスは学生さんもまばらだ。

 大学に通うようになってからお気に入りとなったカフェラテを注文しテーブルに座ろうとしていたら、

「講義、聴きに来てくれたんだね」

 聞き慣れた低い声に呼び止められた。
 聡一朗さんが私に話しかけてくれた。

「すみません、ご迷惑ではなかったですか?」
「いや、驚いたけれど嬉しかったよ」

 よかった。
 じゃあ、あの笑顔は私の勘違いじゃなかったんだな。

「大学生活はどうだい?」
「はい、充実していてとても楽しいです」
「そうか、それはよかった」

と、またあの穏やかでやわらかい顔になる。

ほんの微かな表情の変化に過ぎないけれど、いつも冷淡なほどに無表情でいる聡一朗さんに限っては、それは微笑と言っていい。