君という鍵を得て、世界はふたたび色づきはじめる〜冷淡なエリート教授は契約妻への熱愛を抑えられない〜

「けれども、君の意欲を感じて、すぐに共感じゃ応援に変わったんだよ。君は夢を捨てていない。独学でも勉強しようとしている。その強さに感心したんだよ」
「そうだったんですね……。でも私なんて全然強くないんです。臆病だっただけ。「無理、私じゃ頑張れない」って。両親が残してくれた財産をちゃんと活用して夢を実現できる自信がなかったんです。私からすれば、聡一朗さんの方がずっとすごいです。努力を重ねて、こうして世界でも著名な教授になられたんですから」
「そんなことはない。なにもかも姉がいてくれたおかげだ」

 聡一朗さんはどこか遠い目をして、視線を下に向けた。
 なにか不味いことを言ってしまったかな、と不安になって、私は弾んだ声で続けた。

「お姉さんは、今の聡一朗さんの立派な姿を見て喜んでいらっしゃるんでしょうね」
「……だと、いいんだがな」

聡一朗さんの意味深な言葉に、私は返答に詰まった。
代わりに聡一朗さんが続けた。

「姉は数年前に亡くなったんだ。まだ俺も駆け出しの頃でね、恩返しをする暇もなかったよ」