硬質の落ち着いた声で紡ぎ出された衝撃の言葉に、私は耳を疑った。

「俺と結婚して欲しい」
「……え?」
「俺の伴侶になってくれるのなら、君の生活も勉学もすべて面倒見る。君が夢を叶えられるよう、全力を尽くそう」

黒い瞳が真っ直ぐに見つめてくる。
そこに宿る熱に、混乱する私の脳内も溶かされていくような気がした。

「君となら、結婚してもいいと思ったんだ」
「え、えっと……」
「君を不幸にはしない。けして。だから――」

手を握られた。

その力強さに、熱に、ぎゅうとつかまれてしまったのは、きっと心も一緒だったかもしれない。