君という鍵を得て、世界はふたたび色づきはじめる〜冷淡なエリート教授は契約妻への熱愛を抑えられない〜

両親が亡くなる直前の、この大学の入試判定はBだった。
あともう少し頑張れば夢に一歩近づく、と意気込んでいた時の訃報だった。

それだけに、心がぽっきりと折れてしまって、もうなににも気力がわかなくなってしまった。
こんな状態で万が一合格できたとしても勉強に身が入るとは思えなかった。
けして多くはない財産。
無駄にしたくないと思って納得した上での進学断念だった。

けれども、働いて少しずつ生きる気力を取り戻していく中で、失くしたはずの夢への想いがちらつき始めてきたのを自覚していた。

いまさら後悔はしていない、と言えば正直嘘になる。
だから独学ででも少しずつ勉強していこうと思い始めていた。
そんな時起こった、聡一朗さんとの出会いだった。

「大丈夫か?」

涙を堪えて言葉に詰まってしまっていた。
気遣ってくれる聡一朗さんに私は笑顔を向けた。