君という鍵を得て、世界はふたたび色づきはじめる〜冷淡なエリート教授は契約妻への熱愛を抑えられない〜

「昼間、紗英子君になにか言われたんだね」
「……」

いきなり図星を言われて言葉に詰まってしまった。
それが十分な返答と思ったようで、聡一朗さんは続けた。

「実は彼女はうちの学部の主任教授のお嬢さんでね、卒業生でもあるんだ。そのためかこの大学に特別な思い入れと誇りを持っていてね、勤勉なのはいいが少し部外者に冷たいところがある」

 どこかお嬢様然としていたのはそのためだったんだな、と思うものの、少し違和感を覚える。
 紗英子さんの冷たい反応は、大学部外者にというより聡一朗さんにたかるお邪魔虫に対して、という方が強い気がした。

「図々しくはないさ。俺は君のような勤勉だが機会に恵まれていない学生を援助したいと思っているだけだ」
「でも私は学費も払っていませんし……」
「学費を払っているだけの者が学生だとは思っていない。学びたいという気持ちが重要なんだ。俺は君の意欲を応援したいと思ったんだよ。彼女が言ったことは気にしなくていい。これからも君は勉強を続けるべきだ」

相変わらず聡一朗さんの顔は無表情だった。けれどもその言葉はとても温かく、私を勇気づけてくれる力強さがあった。

思わず、鼻がつんと痛む。