君という鍵を得て、世界はふたたび色づきはじめる〜冷淡なエリート教授は契約妻への熱愛を抑えられない〜

 判ったのは、今日から一カ月ほど前のこと。
 ちょうど聡一朗さんが出張で留守をしている時だった。

 出張から帰ってきた聡一朗さんに開口一番で報告すると、彼は手にしていたお土産を放り出して私を抱きかかえ、大喜びしてくれた。

 でも次の瞬間には、

『なら結婚式は延期した方がいい』

 と慌て出したので、私はやんわりと説明した。

『大丈夫。私も気になってお医者さんに訊いてみたんだけれど、普段通りの生活をして、特別身体に負担を掛けなければ問題ないって』
『いやしかし、初期は大切だと聞く。今すぐ連絡をして――』
『待って、聡一朗さん』

 スマホを取り出した聡一朗さんの手を、私はぎゅっと握った。

『式は予定通り挙げましょう? だって、すごく嬉しいことなんだもの。新しい家族と、記念すべき日を迎えられるなんて』

 微笑む私を見て、聡一朗さんは泣き笑うような表情を浮かべてうなずいた。

 なんだか最近の聡一朗さんは、喜怒哀楽が戻るどころか逆に激しくなっているような気がして、可笑しくて堪らない。

 いったい、どんなお父さんになるんだろう。

 今からすごく楽しみだ。