君という鍵を得て、世界はふたたび色づきはじめる〜冷淡なエリート教授は契約妻への熱愛を抑えられない〜




その日の夕方、仕事が終わると真っ直ぐに聡一朗さんの研究室に向かった。

「どうしたんだい? 急に」

絵本を差し出した。

「やっぱり、もうお借りできません。つい甘えていたけれど図々しかったです。聡一朗さんはご多忙の身なのに、今まですみませんでした。もう、会いにも来ません」

一気に言うと、聡一朗さんは小さくふうと溜息をついた。
「分かった」と返事が返ってくるかと思ったけれど、

「入って」

扉を開いて、私を促した。
おずおずと私は足を踏み入れた。

都内が一望できる大きな窓の前に、パソコンや周辺機器が並ぶ大きなデスクがある。

部屋全体が書籍に覆われている研究室を想像していたけれど、書籍が詰まった本棚はひとつだけで、あとはコーヒーサーバーやきれいに清掃された洗面台があるだけで、開放的な雰囲気だった。

その部屋の真ん中に置かれている座り心地がよさそうなソファに座るように促すと、聡一朗さんは口を開いた。