君という鍵を得て、世界はふたたび色づきはじめる〜冷淡なエリート教授は契約妻への熱愛を抑えられない〜

『メディアで引っ張りだこのイケメンエリート教授、電撃婚!!』というセンセーショナルなタイトルで盛り上がった当初の過熱報道は過ぎた。

 けれども、もっと面白おかしく書きたい週刊誌なんかは、大学で広まっていた契約結婚の噂を掘り下げたいらしく、こうしていまだに私たちを付けまわっているのだ。

 なかなか騒がしい日々だけれども、「あともう少しで諦めるだろう」と聡一朗さんは冷静を努めている。
 そして彼以上に、私はのほほんとしていた。

 だって、私たちには、もう面白おかしく書かれるような要因は一切ない。

 立派な恋愛結婚生活を送っているのだから。

 取り留めもないことをいくつか訊いた後、メディアの方は「じゃあ最後に」と締めくくった。

「藤沢先生、契約結婚と噂されていますが、今の率直な心境は――」
「幸せに決まっている。じゃあすまないが、急いでいるんでいいかい?」
「や、もうちょっとお言葉を」
「これから最愛の妻をお姫様にする打ち合わせに行かなくてはならないもので」
「はぁ、それはど」

 メディアの方を無視して、聡一朗さんは車の窓を閉めた。

 横にいた私は笑いを堪えるのに必死だ。

 ただの結婚式の打合せなのに、聡一朗さんったら、もう。

「さぁ行こうかお姫様。純白のドレスがお待ちかねだよ」

 聡一朗さんは冗談と本気が半々に交じった微笑を整った顔に浮かべて、まるで王子様が手綱を扱うごとくハンドルを切った。