唇だけでは足りず、首筋を、胸元を啄まれ、私は知ったばかりの快感に再び落ちていく。

 私が鍵と言うのなら、聡一朗さんのキスは魔力を秘めた鍵だ。

 人と交わることを知ったばかりの身体なのに、熟れた果実のように、聡一朗さんのその唇で淫靡な快感に意識を溶かしてしまうのだから――。

「んっ……」

 仰け反る私の耳に唇を押し当て、聡一朗さんは熱い吐息まじりに言った。

「明日、指輪を選びに行こう」
「……でも、もう……っ、んッ……」
「だめだよ、あんな取り急ぎで買ったのじゃ」

 蕩けた私の身体を愛撫し、乱れる意識にさらに焼き付けるように、愛の言葉をささやく。

「一緒にちゃんと二人が欲しい物を選びに行こう。君と俺を永遠につなぐ証なんだから」

 そうして握ってきた手を夢中で握り返し、私は奥深くに入り込んできた聡一朗さんを受け入れる。

 甘い甘い幸福に押し流され、その夜、私たちは初めて、心も身体もひとつに通じ合わせた。