君という鍵を得て、世界はふたたび色づきはじめる〜冷淡なエリート教授は契約妻への熱愛を抑えられない〜

「芸能人みたいな人ぐらいの認識しかないだろうけど、あの方はそんな程度の人物じゃないのよ。海外の大学を主席卒業して、その後も目覚ましい研究結果を発表し、世界中から期待を寄せられている偉大な方なの。そんな欧米の一流大学の教授ポストについても遜色ない方に、あなたみたいな小娘に割く時間なんて本来なら一秒もないはずなのよ。それをあなたが図々しく来るから仕方が無く面倒みてあげているってこと、少しは自覚しなさい」
「……」
「先生とあなたとじゃ、住む世界が違うのよ」

吐き捨てるように言うと、紗英子さんはコツコツとヒールを鳴らして出て行った。

ほっとする。

けど、胸は苦しかった。
彼女言うことは、間違っていなかった。

考えないようにしていたけど、気にしていたことだった。

聡一朗さんはきっとすごく優しい方だから、こんな私に良くしてくれたのだろう。
けれども、いつまでも甘えるわけにはいかないんだ。

私は絵本をぎゅうと抱き締めた。