「疲れているのにごめんなさい。実はお見せしたいものがあって」
「離婚届ならその場で破り捨てるつもりだが」

 笑ってかぶりを振ると、私は木箱を持ってきた。
 聡一朗さんの顔が強張る。

「ごめんなさい、勝手に持ち出して。でもこの箱を開ける鍵がどこにあったか、分かったから」

 そうして私は例の絵本を見せた。

「まさかこれが……」
「私も同じのを持っていたんですけれども、全然違う鍵が付いていたから、もしかしてと思って」
「そう、だったのか……」

 聡一朗さんはうなずいて「俺には絶対開けられなかったはずだ」と呟いた。

 そして、心の準備をするようにしばらく箱を見つめ、聡一朗さんはゆっくりと木箱の蓋を持ち上げた。

「これは……」