君という鍵を得て、世界はふたたび色づきはじめる〜冷淡なエリート教授は契約妻への熱愛を抑えられない〜




「タクシー!」

 マンションの入口から出て、幸運にもタクシーを止めることができた。

 現在、時刻は十三時。
 式典は十四時開始だった。

 木箱の中身に夢中になっていたらつい時間が過ぎてしまって、準備に追われてしまった。

 十四時までにはどうにか間に合いそうだけれど、余裕を持って着こうと思っていた時間より、だいぶ遅れてしまうことになる。

『ごめんなさい、少し遅れます』

 車内で聡一朗さんにラインを打った。

 それからしばらく考えて続きを打つ。

『お話したいことがあります。式の後、お時間をいただいてもいいですか?』

 しばらく様子を見ていたけれども、既読は付かない。
 間際で聡一朗さんも忙しくしているんだろう。

 私は昂る胸を抑えるように、ほおと息を吐いた。
 早く聡一朗さんに会いたい。
 そしてあの木箱の中身を見てもらいたい。