君という鍵を得て、世界はふたたび色づきはじめる〜冷淡なエリート教授は契約妻への熱愛を抑えられない〜

 見覚えのある背表紙を見つけて、思わず手に取った。
 子どもの頃から私が持っている数少ない絵本の中の一冊と、同じものだった。

 魔法の鍵を開けて、不思議な世界に行くおはなし。

 ストーリーだけで魅力的なのに、さらに子ども心を鷲掴みにしたのは、実際に鍵が付いているところだった。

 仕掛け絵本になっていて、各ページにある鍵穴にその鍵を差し込むと、絵が飛び出してくる仕組みになっていた。

 そう、背表紙に綺麗な色の紐糸が付いていて、鍵はその先に――。

「あら……?」

 付いていたのは銀色の鍵だった。

 たしか絵本のは銅色だったはず。
 作りも銀色の方が精巧で、本物の鍵みたい――。

「もしかして」

 はっとなり、私は絵本の隣に置いてある物に視線を向けた。

 アンティークの木箱。

 以前、手に取っていたら厳しい口調で制止された。

『その箱は鍵が無いから開かない』

 聡一朗さんはそう言っていたけれども……。