君という鍵を得て、世界はふたたび色づきはじめる〜冷淡なエリート教授は契約妻への熱愛を抑えられない〜

『あいつをお姉さんの死から解放してあげられるのは、君しかいないんだ』

 柳瀬さんの言葉が脳裏をかすめた。
 居ても立ってもいられず立ち上がり、聡一朗さんの仕事部屋に向かった。

 そして、写真の中のお姉さんと向き合った。

 今初めてお姉さんにお会いしたかのように、どういう人なのか感じ取れるような気がした。

 悲しげな笑顔。
 それでも、優しさが伝わってくる。

 お姉さんは少しも聡一朗さんを恨んではいない。
 大切に想っていた。
 きっと、こと切れる最期の瞬間まで。

 そのことが伝わるなにかがあれば――

 ふと、本棚に目が行った。
 学術書ばかりが並ぶ中に紛れるように外国語の絵本があった。お姉さんの遺品だ。

「これは……」