君という鍵を得て、世界はふたたび色づきはじめる〜冷淡なエリート教授は契約妻への熱愛を抑えられない〜

 出会って間もない頃、初めてお姉さんのことを教えてくれた聡一朗さんの心を想って、私は身勝手にも泣いてしまった。

 彼は、お姉さんを想って泣くことも許さないほどに、自分を責めている――。

 そう気付いて涙を堪えることができなかった私に、彼は優しい笑顔をくれた。

 俺の代わりに泣いてくれて、ありがとう。

 そう思ってくれたように、今なら思える。

 でも、それではだめなんだ。

 大切な人のために涙を流せないなんて、そんなことあってはならないんだ。

 だって私は、大切な家族を失って知っている。
 泣いて泣いて、一生分泣いて、身体中の水分がすべて枯れ果ててしまうほどに涙を流せばいい。
 そうすれば人は、ほんの少しでも必ず前に進むことができるということを。

 だから私は、聡一朗さんに出会えた。