君という鍵を得て、世界はふたたび色づきはじめる〜冷淡なエリート教授は契約妻への熱愛を抑えられない〜




 柳瀬さんが帰った後も、私は放心状態だった。

 二脚のコーヒーカップが残された白いテーブル。白いソファ、白いカーペット……。

 白で統一されたリビングはスタイリッシュで広々と感じるけれども、いつもどこか冷たくて寂しくも感じていた。

 そうして、今ほどそれを痛々しく感じたことはない。

 聡一朗さんはこの部屋でずっと一人で生きてきた。
 お姉さんを失った悲しみと、それを自責する苦しみに耐えながら――。

 止まったはずの涙が零れそうになった。けど堪える。

 もう泣いてはいけない。
 私にそんな暇はないのだ。