君という鍵を得て、世界はふたたび色づきはじめる〜冷淡なエリート教授は契約妻への熱愛を抑えられない〜

「写真、見ただろ? あの通り綺麗な人だったから、結婚した相手も一目で彼女を見初めたんだ。金を持っているだけが取り柄の下衆男でね、結婚して早々お姉さんにDVをはたらきはじめて、浮気も重ねまくった」

 共に暮らす人から傷つけられるなんて、どれほど苦しい日々だったろう。

 どこか寂しげに笑っていた写真の中のお姉さんを思い出すと、胸が潰れる思いがした。

「夫と離婚してしまえば弟への援助ができなくなるとお姉さんは必死に耐えて、聡一朗にもDVを受けていることはおくびにも出さなかった。ずっと一人で耐えて、耐えて……。聡一朗がやっと身を立てられるようになった頃に、なかば捨てられるように離婚したんだけれど、お姉さんの精神はすでにボロボロになっていた」
「じゃあ、その後は聡一朗さんと一緒に?」

 柳瀬さんは首を横に振った。