君という鍵を得て、世界はふたたび色づきはじめる〜冷淡なエリート教授は契約妻への熱愛を抑えられない〜

 私は言葉を失った。

 そんな、どうして。

 聡一朗さんのために大変な思いはした。
 けど聡一朗さんは夢を叶えて立派な大学教授にまでなったというのに――なにを憂いで自ら人生を終える必要があったのだろう?

「君も知っていると思うけど、大学教授にまでなるには本人の努力もそうだが、なによりもお金がかかる。お姉さんは身を粉にして働いたけれど、それだけで賄える費用ではなかった。だからお姉さんは、お金のために好きでもない男と結婚したんだ。すべて、聡一朗のためだけに」

 寂しげな陰を宿す柳瀬さんの瞳は、遠い思い出を想っているようだった。

 もうけして会えないお姉さんを憐れむように、求めるように……。