君という鍵を得て、世界はふたたび色づきはじめる〜冷淡なエリート教授は契約妻への熱愛を抑えられない〜

「私では、あの方のその壁を取り払ってあげることはできません。聡一朗さんは私をとても大切にしてくれます。でも、けしてその壁の内には入らせてもらえない……」

 ぽつりと言う私の言葉を否定するように、柳瀬さんは強い口調で言った。

「あいつが君にお姉さんのことを言わないのは、君を信頼していないからじゃない。むしろ、その逆だからだよ」

 ……どういう、意味だろう。

『俺は君を愛する資格はないんだ』

 今朝の聡一朗さんの言葉が脳裏をかすめた。

 柳瀬さんは少し顔をうつむかせ、小さな声で続けた。

「自死だったんだ。お姉さんは、自ら命を絶ったんだよ」