君という鍵を得て、世界はふたたび色づきはじめる〜冷淡なエリート教授は契約妻への熱愛を抑えられない〜

「お姉さんのこと、あいつは君にほとんどなにも教えていないのか?」

 どこか意味深な言葉に私は素直にうなずいた。

「はい、亡くなったこと以外はなにも」
「ったく、本当になにも知らせてないんだな、あの野郎は。愛しい妻になにやってるんだ」

 苦笑いを浮かべつつ、私は内心で「そんな存在ではないからです」と答える。

 愛している、と聡一朗さんは言ってくれた。
 嬉しかった。

 でも、こうしてお姉さんのことを知らせてもらえていない事実を知って、その喜びは小さくしぼむ。

 たとえ愛されていても、私は聡一朗さんの心の奥底には分け入らせてもらえない。

 一人で背負いこむ孤独を解消してあげられる存在ではないんだ……。

 ついうなだれてしまう私を見て、柳瀬さんは少し沈黙した後、意を決したように話し出した。