君という鍵を得て、世界はふたたび色づきはじめる〜冷淡なエリート教授は契約妻への熱愛を抑えられない〜

「今日は授賞式があるんだろう? 忙しいところお邪魔してごめんね。なにぶん俺もスケジュールが詰まっていてね、今日しか機会がなかったものだから」
「いえとんでもない。お会いできてうれしいです」

 とコーヒーをお出しすると、柳瀬さんは恐縮されて、

「いやいや、なのでおかまいなく。手を合わさせてもらったら、すぐにお暇するので。実はこの後は空港に行かなくちゃならなくてね」

 とソファから立ち上がったので、私は慌てた。

「申し訳ありません、実は主人から事情を聞きそびれていまして――あの今日はどういったご用件で……」
「え」

 柳瀬さんは、アメリカ暮らしを感じさせる器用に片眉を歪ませた表情を見せた。

 そして「ったくあの野郎……」と独り言ちて、溜息をつくように肩を落とし、少し固い顔つきになってソファに腰をうずめた。

「実は聡一朗のお姉さんに手を合わせたくて来たんだよ。命日がもうすぐだから」
「え?」

 今度は私が驚いた。