君という鍵を得て、世界はふたたび色づきはじめる〜冷淡なエリート教授は契約妻への熱愛を抑えられない〜

 気を悪くしただろうか、と思ったのも束の間、聡一朗さんの手が私の頬を撫でた。

 そして、親指でやさしく私の唇をなぞる。

 そのくすぐったさに笑みを漏らしながら、私は拗ねた顔を浮かべた。

「寂しかったんですよ。ずっと、ずっと。――本当は、今だって、寂しい」

 聡一朗さんが急に体勢を変えた。

 身を乗り出して、覆いかぶさるように、私と顔を近付ける。

「そうとう酔っているね。君は」
「はい。こんなにたくさん飲んだの、初めてかもしれないです……ふふっ」

 どうしてか可笑しくなってきた。

「すごく、ふわふわします。なんだかこうして聡一朗さんとお話している今が、夢みたいなき――」

 最後まで言えなかった。

 唇を塞がれてしまったから。