君という鍵を得て、世界はふたたび色づきはじめる〜冷淡なエリート教授は契約妻への熱愛を抑えられない〜

 赤ら顔を蒼白とさせつつも、男は引きつった笑みを浮かべた。

「せ、先生……いやだな、誤解ですよ。奥様が疲れていた様子だったから手をさしのべただけで、俺は」
「失せろ。二度と妻に近付くな。もう俺の部屋にも顔を出すな」

 有無を言わせぬ聡一朗さんの辛辣な口調に男は絶句し、険しい表情を浮かべて走り去っていった。

「大丈夫か?」

 打って変わった優しい口調で、聡一朗さんが私の顔を覗き込んできた。

 少し焦りがにじんだようなその顔からは、心から私を心配してくれる気持ちが伝わってくる。
 私がその腕にもたれたまま、震えを抑えるのに必死だったからだ。