君という鍵を得て、世界はふたたび色づきはじめる〜冷淡なエリート教授は契約妻への熱愛を抑えられない〜

「な、なんですか」
「どうせ形ばかりの結婚生活なんだ。夜の生活の方までは契約していないだろう?」

 急に腕をつかまれ、ぞわりと嫌悪感が全身を走った。

「それともそっちも込みの契約だとか? だとしても、あの男じゃ刺激的とは言い難いだろ?」
「離して……!」
「清純ぶるなよ。若い男とのアバンチュールで欲求不満を晴らしたらどうだ、って言ってやってるんだよ」
「いや……!」

 誰か助けて!

 見回すけれど、誰もいない。
 いや、いるけれども、ホテルマンの人たちは、こういう場面に慣れているのか見て見ぬふりだ。

 もっと嫌がって騒げば助けてくれる?
 でもそうなれば、聡一朗さんの晴れの舞台が台無しに……。