君という鍵を得て、世界はふたたび色づきはじめる〜冷淡なエリート教授は契約妻への熱愛を抑えられない〜

 恩師になんてこと言うんだろう、と不快に思ったけれども、契約結婚が密かに噂されているなんて、とそのことの方がショックだった。

 動揺したらこの人に噂が本当だと悟られてしまう――そう懸念して、なんとも思っていないような表情を作っていると、院生はさらに暴言を続けた。

「あの男は利害でしかものを見ない冷徹な奴なんですよ。研究にも俺たちにもそうだから解かります。だから、あなたのこともきっとそうだ。若い女の子の未来を横暴に搾取してなんとも思っていないんだ」
「そんなこと……主人はそんな人ではありません」

 否定する私に、男は赤ら顔に馬鹿にするような表情を浮かべて笑った。

「健気だなぁ、騙されているのも知らないで。目を覚ましたらどうだ? どうせ利用されているだけだろ。あと何年かして、他に若くて可愛い子を見つけたら、あんたなんてすぐにポイだよ」
「……!」
「そうなる前に、存分にあいつの立場と金を利用して遊べよ? あんたのような若くて可愛い女の子は、それに釣り合う男と付き合った方がいい」

 意味深な声色になると、男が私ににじり寄って来た。