君という鍵を得て、世界はふたたび色づきはじめる〜冷淡なエリート教授は契約妻への熱愛を抑えられない〜

 聡一朗さんはそれからも大勢の人に囲まれていて、私のもとに戻る余裕がなさそうだった。

 談笑している聡一朗さんを見守っていると、どこからか声が聞こえてきた。

「やれやれ、今を時めくとはこのことだな。青二才がいい気なものだ」

 ドキっとさせられるような、嫌な声色だった。

「しかも、今日連れて来た嫁を見たか?」 
「ああ、まだ子どもじゃないか」
「堅物に見せておいて意外に幼稚趣味だったと見える」

 嘲笑を交えて話すのは聡一朗さんのことに違いなかった。
 ズキズキと嫌な胸の高鳴りを覚える。
 しかも私のことまで話題にしている。
 聞かない方がいい、と思っても、つい耳をそばだててしまう。