君という鍵を得て、世界はふたたび色づきはじめる〜冷淡なエリート教授は契約妻への熱愛を抑えられない〜

「本当にねぇ。聡一朗先生とはいつかお話してみたいと思っていたところに、こうして奥様ともお話しできるなんて、嬉しいわぁ」

 それまで私たちと会話していた年配の女性が、紗英子さんの言葉にうなずいた。

 紗英子さんはこれチャンスとのばかりに、さらに会話に割り込んできて、

「やっぱりみなさんの大注目と言えば、若奥様である美良さんよね。今日はいつもと違ってとても素敵ね。普段は質素な学生姿なのに」

 と、言ってきたが、その言葉には少し棘が含まれている気がした。

「まぁ、奥様は普段は学生をされているの?」

 案の定、年配の女性が怪訝そうに訊いてくる。

「はい、実は主人の大学に通っておりまして――」
「ええ、聡一朗先生の援助で特別コースに通われているんですよ」

 私に割り込んで紗英子さんが返答する。
 そのあからさまな振る舞いに、私は嫌な予感を感じた。

 私を貶めようとしているんじゃないか――という懸念はさっそく当たる。