君という鍵を得て、世界はふたたび色づきはじめる〜冷淡なエリート教授は契約妻への熱愛を抑えられない〜

藤沢聡一朗。

図書館の受付の方に尋ねたら、それがあの教授さんの名前だと教えてくれた。

部外者が怪しまれないかと思ったけれど、どうやら私を学生だと思ったらしい。
研究室の場所も教えてくれた。

聡一朗さんの研究室は、休憩室から歩いて十分はかかる棟にある最上階の場所だった。

それを知って私は緊張を覚えた。
最上階を使う教授さんはみんな学内でも影響力のある著名な方々ばかりで、失礼が無いようにと清掃もベテランしか入れないようになっている。

見た限り三十歳前後に見えたけれど、実はすごい人なのかもしれない。

そんな人に私のような人間がのこのこ訪ねて行っていいのか……。

と尻込みするけれども、どうしても直接お礼を伝えたかった。

部外者の私に本を貸し与えてくれた方だ。
突然訪れても受け入れてくれるだろう。
ほんの少しでも感謝の気持ちを伝えればいい。