君という鍵を得て、世界はふたたび色づきはじめる〜冷淡なエリート教授は契約妻への熱愛を抑えられない〜

「おまえは研究に没頭することでお姉さんを失った事実から目を背けてきた。俺はそれでいいと思っていた。おまえがそれでどうにか生きていけるのなら、どんなに孤独に見えようが」
「……」
「けど、おまえは自ら自分の人生に美良ちゃんを招いた。その意味を俺はかなり重く受け止めた。嬉しかったよ。面白がってなんかいない。ただ安心して嬉しかっただけだ。だから、美良ちゃんには絶対話すべきだ」

 重苦しい沈黙が続いた。
 俺の言葉を待って黙り続ける凌に、俺はどうにか言葉を紡いだ。

「おまえには悪いが、余計なお世話だ。彼女に話すつもりはない」
「……そうか」

 つぶやくなり、凌は金札を置いて立ち上がった。