君という鍵を得て、世界はふたたび色づきはじめる〜冷淡なエリート教授は契約妻への熱愛を抑えられない〜

「おまえ、本音ではどう思っているんだ。そんないい子が契約結婚なんて生活を続けられると思っているのか、一生、死ぬまで」

 柄にもなく、凌の声には怒気がにじみ始めていた。

 グラスの中の氷が、カランと音を立てる。

 凌は静かな声で続けた。

「おまえさ、お姉さんのことはちゃんと話したのか」
「……姉が亡くなったことは伝えている」
「すべて?」

 押し黙る俺の様子が答えになった。

「きちんと話すべきだ。美良ちゃんにはな」
「……」
「美良ちゃんだけには話してもいいと思うぞ。いや、話せ」
「おまえには関係ないことだろ」
「関係ないさ。だがな、腐れ縁を自覚している以上、おまえには幸せになってもらいたいと思っているんだ」

 高ぶりを抑えるように小さく吐息すると、凌は続けた。