君という鍵を得て、世界はふたたび色づきはじめる〜冷淡なエリート教授は契約妻への熱愛を抑えられない〜

 彼女の顔が脳裏に浮かぶ。

 純粋で無邪気な笑顔。
 慈しむような穏やかな微笑。

 日々俺の心に焼き付いていく彼女は、いつも笑顔だった。

 俺はたどたどしく弁明するように言った。

「彼女が望むことはなんでも自由にさせているし、金銭でも苦労はさせていない」
「それで? 美良ちゃんは本当に自由気ままに、湯水のごとくおまえの金を使いまくって楽しんでいるのか?」
「……いや」

 渡したクレジットカードの明細額はいつもささやかなもので、スーパーやドラックストアで決済したものばかりだった。
 つまり俺との生活のために費やすばかりで、自分のためだけに散財など、まったくしていなかった。

 大学と家を往復し、勉強して、食事を作って、気まぐれな俺を健気に待つ――それが彼女の過ごす毎日だった。