君という鍵を得て、世界はふたたび色づきはじめる〜冷淡なエリート教授は契約妻への熱愛を抑えられない〜

「ふぅ、終わりっと」

午前の清掃を終えて休憩に入る。

さっと昼食を済ませて、ユニフォームを脱いで私服に着替えた。

前回はユニフォーム姿だったのにそうしたのは、なんとなく教授さんの貫禄ある毅然とした姿を思い出してだ。
とは言っても安物のスカートにカットソー。
でも勝負服と言うか、パステルカラーがお気に入りのデザインで、人に会う時にいつも着るコーディネートだ。

これから、貸してもらった絵本を返しに教授さんのところに伺う。

絵本は本当に素晴らしいものだった。
可愛い動物に綺麗な装飾。
眺めているだけで満足だったけれど、もちろんお話も楽しみたいから英文は自分で翻訳した。

可愛いお話だった。
女の子が動物たちと冒険を繰り広げながら色んな体験をして、最後に幸せになるお話。

訳を進めるたびに広がっていく世界に、私も女の子と一緒に冒険をしているような気分になった。

家族を失ってすっかり広くなってしまった家で一人で暮らす私に束の間与えられた、幸せな時間。
それを与えてくれた教授さんには、感謝の気持ちで一杯だった。