こんな感じで、あらゆる人に対して不自然な態度を取るようになってしまった。
身近な人だと感じると同時に、異世界の人たちという見方もしてしまい、どうしたらいいのかわからないのだ。
前世の記憶もあって、今の生活に違和感もある。
そんな私は、本当に「アイナ」なのかな。
自分が誰なのかもよくわからないのに、公爵家の娘として過ごし、王様の親戚――つまりは王族の一員であるジークベルトと結婚なんてしていいのか、とも感じる。
前世のことを思い出す前は、ジークベルトのことを素敵な婚約者だと思っていた。
きっと、恋もしていた。
でも、18歳の記憶もある私からすると、10歳は子供だ。
恋愛や結婚をする相手だと思うのは難しい。
そんな私じゃなくて、他の……。ご令嬢や妻として振る舞えて、彼を愛することができる人と一緒になった方がいいんじゃないかと思う。
なら婚約解消でもすればいいのかもしれないけど、それもできないでいる。
「はあ……」
ぎこちない笑顔でジークベルトを見送った私は、自室のベッドに飛び込もうとして、止まった。
ゆっくりしたいけど、この服のままじゃベッドで休んだりできない。
メイドに手伝ってもらって楽な服に着替え、今度こそ、柔らかなマットレスに身を任せた。
「距離を置くようにしてるけど、来るんだよね……」
あの日から、私はジークベルトとの接触を控えていた。……控えようとしていた。
けど、優しい彼は数日おきに顔を出してくれる。
きっと、「アイナ」は彼に愛されているのだろう。
このままここにいれば、私は恵まれた女の子として生きることができる。
それは今の私にもよくわかった。
でも、私の中には違う世界を求めてもがき、何も達成できずに亡くなった18歳の女子高生もいる。
それも、西洋っぽい世界の公爵令嬢とは程遠い、日本の庶民。
今の私は、公爵令嬢として振る舞うことに苦痛に感じ、自分が誰なのかもわからなくて、ジークベルトと結婚していいのかと悩んでる。
そして――
「自分の居場所、人生……生き方を、自分で選びたい」
ベッドに横になったまま天井に向かって手を伸ばし、呟いた。
何故だか、強くそう思う。
私が自分でそう思っているのか、前世の記憶に思わされているのか。
そんなの、もうわからない。
でも、このまま過ごしたってもやもやし続けるだけだってことは理解できた。
ならどうするかっていうと……。
「色々やって、見て、学んで、自分が納得できる道を探す、とか……?」
掲げていた手を、ぱたん、とベッドに戻した。
今の私じゃあ、どうしたらいいのかわからない。
それに、実年齢10歳の子供にできることもそう多くはないだろう。
「決めるのは後にして、色々試しつつ、しばらく様子見、で……」
横になっていたら、なんだかうとうとしてきた。
ここ最近でようやく落ち着いてきたものの、ベッドに入ると記憶が流れこんでくるものだから、基本的に睡眠不足なのだ。
欲求に従い、ふかふかのお布団とシーツの間に身体を滑り込ませる。
柔らかくてあったかい寝具に包まれながら目を閉じてしまえば、今回はすんなり眠ることができた。
身近な人だと感じると同時に、異世界の人たちという見方もしてしまい、どうしたらいいのかわからないのだ。
前世の記憶もあって、今の生活に違和感もある。
そんな私は、本当に「アイナ」なのかな。
自分が誰なのかもよくわからないのに、公爵家の娘として過ごし、王様の親戚――つまりは王族の一員であるジークベルトと結婚なんてしていいのか、とも感じる。
前世のことを思い出す前は、ジークベルトのことを素敵な婚約者だと思っていた。
きっと、恋もしていた。
でも、18歳の記憶もある私からすると、10歳は子供だ。
恋愛や結婚をする相手だと思うのは難しい。
そんな私じゃなくて、他の……。ご令嬢や妻として振る舞えて、彼を愛することができる人と一緒になった方がいいんじゃないかと思う。
なら婚約解消でもすればいいのかもしれないけど、それもできないでいる。
「はあ……」
ぎこちない笑顔でジークベルトを見送った私は、自室のベッドに飛び込もうとして、止まった。
ゆっくりしたいけど、この服のままじゃベッドで休んだりできない。
メイドに手伝ってもらって楽な服に着替え、今度こそ、柔らかなマットレスに身を任せた。
「距離を置くようにしてるけど、来るんだよね……」
あの日から、私はジークベルトとの接触を控えていた。……控えようとしていた。
けど、優しい彼は数日おきに顔を出してくれる。
きっと、「アイナ」は彼に愛されているのだろう。
このままここにいれば、私は恵まれた女の子として生きることができる。
それは今の私にもよくわかった。
でも、私の中には違う世界を求めてもがき、何も達成できずに亡くなった18歳の女子高生もいる。
それも、西洋っぽい世界の公爵令嬢とは程遠い、日本の庶民。
今の私は、公爵令嬢として振る舞うことに苦痛に感じ、自分が誰なのかもわからなくて、ジークベルトと結婚していいのかと悩んでる。
そして――
「自分の居場所、人生……生き方を、自分で選びたい」
ベッドに横になったまま天井に向かって手を伸ばし、呟いた。
何故だか、強くそう思う。
私が自分でそう思っているのか、前世の記憶に思わされているのか。
そんなの、もうわからない。
でも、このまま過ごしたってもやもやし続けるだけだってことは理解できた。
ならどうするかっていうと……。
「色々やって、見て、学んで、自分が納得できる道を探す、とか……?」
掲げていた手を、ぱたん、とベッドに戻した。
今の私じゃあ、どうしたらいいのかわからない。
それに、実年齢10歳の子供にできることもそう多くはないだろう。
「決めるのは後にして、色々試しつつ、しばらく様子見、で……」
横になっていたら、なんだかうとうとしてきた。
ここ最近でようやく落ち着いてきたものの、ベッドに入ると記憶が流れこんでくるものだから、基本的に睡眠不足なのだ。
欲求に従い、ふかふかのお布団とシーツの間に身体を滑り込ませる。
柔らかくてあったかい寝具に包まれながら目を閉じてしまえば、今回はすんなり眠ることができた。