運命の人と笑える日々を

音昏くんの家……?

……いやいやいやいや。


「いや、でも、家族とか、迷惑ですよ」

「大丈夫。俺、一人暮らしだから」

「いや、でも」

「でも? なに?」

「えっと……」


学校で人気の音昏くんの家?

そんなの恐れ多すぎる……!!

なんとしてでも行かないようにしなければ……!!


「でも、なに?」

「で、でも、泊まるところありますし!」


う、嘘だけど……。

音昏くんの家に泊まるなら野宿の方が!


「……は?」

「っ」


なぜか低い声を出す音昏くん。

──関係ないはずなのに、数時間前の母に重なった。


「どこに行くの? 誰のところ?」

「っえ、あ……」


違う、音昏くんはお母さんとはまったく違う。

──違う、のに。

思わず自分の腕を掴んだ。


「……焦りすぎたか」


音昏くんが何か言っているけど、私は自分を落ち着かせることに集中する。

なんで、私はこんな弱いんだろう。

──惨めだ。