「クリスマスツリー……綺麗……」


白い息が邪魔をするけれど、私は気にしなかった。

色々な飾りや電気が付けられている木。


「そっか、今日、クリスマスなんだ……はは」


今日がクリスマスだと気付いて思わず乾いた笑いが出る。

なんで今日なんだろう。

よりにもよって、十二月二十五日だなんて。


「お母さん、気付いてたのかなぁ……? 今日、私の誕生日だよ」


生まれてきた日に、産んだことを後悔された。

そんな事実が私の心に深く刺さる。

すれ違う人、ツリーの近くにいる人、そんな人たちの笑顔から逃げるように、私は足早にその場を後にした。







「……っぅ」


私は下唇を噛んで、空を見上げて涙がこぼれ落ちないように頑張っていた。

誰もいない薄暗い公園のど真ん中に私は座り込んでしまっていた。

誰もいないから気が抜けて。

それと同時に膝の力も抜けて。

そして地面に座り込んだのを合図にこらえていた涙が溢れた。