「全部、詩月のためだったのに、そんなことを言うのね」


やばい。

瞬時にそう感じて、言ったことをものすごく後悔した。


「お母さんの言うことができないのなら今すぐここを出ていきなさい。ここは私の家なの」

「え……あ」

「早く出ていきなさいッ! あなたの顔なんて見たくもない」


じゃあ、私はどこにいけばいいの?

そう思うけど、もうすでにここには私の居場所はないのだろう。

母の目は、言動は、すでにそれを物語っていた。

私が言ったことが原因なのに、なんだか無性に泣きたくなった。


「あんたなんて産まなきゃよかった」


そんな言葉を聞きながら下唇を噛んで、私はすぐに家を出た。


「さむ……」


歩きながらそんなことを呟く。

上着くらい持ってくればよかった……。

少し後悔しながら真っ白な自分のはいた息を視界に入れながら歩く。

なんだろう、あれ。

ふと視界の端で捉えた眩しい光が気になって目を凝らす。