運命の人と笑える日々を

音昏くんの手が、私に影をつくった。

反射的に肩に力が入った。


「よーしよし」

「っへ?」


頭をなでられた……?

……えっ?!

理解した瞬間、顔に熱が広がっていく。


「ふふっ」


音昏くんの考えていることが、まったくわからない……。

音昏くんはなにがしたいの……。

ふわっと笑う音昏くんに若干呆れてそんなことを考える。


「やっぱ、うちにこよ? ね?」


そう言いながら音昏くんが私の手首をがしっと掴む。

……え?


「えっえっ」

「強制連行っ」


……理解できないのは私だけでしょうか……。


「ちょっ音昏くん!?」

「なぁーにー?」

「いや、なぁにってっ!」

「あのままだと寒いよ? 俺の家が1番いいよ」


確かに寒いですけど!

これはこれで大問題なんですよ!

さっきから、心の中で文句が絶えないのはしょうがないと思う。