私とディオン様の出会いは本当に幼い頃、それも物心つく前の赤ん坊の頃だったそう。
 つまり物心ついた時にはすでに毎日のように一緒にいたわけだけれど、それはなぜか。
 二人の両親のマリエット侯爵と国王が幼馴染の関係であり、昔から強い信頼関係で結ばれていたから。

 私たちは同い年であり、同じ秋の暦生まれ。
 体格差もあまりなく一緒に遊ぶ私たちは、まるで双子のように大事に大事に育てられた。
 侯爵家の子供でありながら王宮の奥庭園へと招待されて、お互いの母親と共にお茶会を楽しんだり、ディオン様と王宮にある書庫室で過ごしたりと、仲良く過ごしていた。

「ねえ、ディオン様」
「なんだい、クラリス」
「大きくなったら僕がクラリスを幸せにする! だから結婚してほしいんだ」
「──っ!」

 そんな風にプロポーズをされた昼下がり──
 当時8歳だった私は嬉しくて嬉しくて、ディオン様のまぶしい笑顔に見とれる。
 私はその約束を大事に持って育ち、勉強熱心だったディオン様を隣で支える決心をした。


 ディオン様と私は同じ王立学園に通って今年卒業。