ジャン先生は投獄されてその後の裁判でおそらく一生外には出られない判決になるだろうとのことだった。
 国王は少し前にジャン先生が怪しい動きをしていることに気づき、また裏で人身売買などもおこなっていることを知りリオネル様に調べさせたのだそう。
 そして彼の家を調べたところで私に血を隠し持っていることを知り、そして病についても彼の自宅の日記から嘘だということが判明した。

 一方、私はというと、リオネル様が私との婚約をどう思っているのかを聞けずに数日が立っていた。
 変わらず護衛騎士である彼は私のことを見守っているけれど、正式な婚約までは一定の距離を保っているように思えた。
 国王に言われたから仕方なく彼は私と結婚するのではないだろうか。
 そんな不安がずっと頭をよぎって離れない。
 だから思い切って私は彼に告げることにした。

「ねえ、リオネル様」
「なんでしょうか」
「婚約、断ってくれていいわよ」
「え?」

 彼は思わず足を止めて、私のほうを見る。