オレア祭が無事に終わったすぐ後、私はマリエット侯爵家の令嬢として社交界に参加していた。
 かなり大きな社交パーティーであり、さらに夜に開催されるパーティーともあって令嬢や令息と共に様々な貴族の方がいる。
 もちろん聖騎士長であるリオネル様も招待されており、こっそりと私のことを離れたところから見守ってくれていた。

「王太子殿下はやはりしばらく帰っていらっしゃらないんですね」
「そうですね、手紙では勉学に励んでいて元気にしているとおっしゃっていましたわ」
「それはよかったですわ」

 もちろんそんな手紙なんてものはないから、私はその場のでまかせで乗り切るのだけど。
 侯爵令嬢、さらにマリエット家の人間であると、社交界でも結構話しかけられることが多い。
 もちろんそれは私個人に何か、というよりもお父様──マリエット侯爵への取次をお願いしたい、口利きをしてくれといったような内容のことがほとんどなのだけど。
 まあ、それを表立って口にするわけではなくなんとなくで、お父様によろしくといった感じで伝えてくる。