護衛騎士となったリオネル様は、学園までの送り迎えや王宮へ行くときの付き添いなど、ずっと私の傍にいてくれるようになった。
 今日は王宮に来ていただいているお医者様のジャン先生のところに向かうところ。
 私が王宮の廊下を歩く少し後ろでリオネル様は静かに私を見守るようについてくださる。
 まあ、国王のことだから婚約者なき後、そのまま女王になる可能性も高い私の重要性が上がって護衛を強化したってところだろうけど、それにしても聖騎士長をつけるのは……。

 王太子の婚約者(という嘘の肩書)である私と、聖騎士長となった若くて見目麗しいリオネル様が一緒にいると、それはかなり目立つようで。
 廊下を通るたびにこちらを向いて深々とお辞儀をする皆さんの姿が見える。
 ええ、知っていますとも。
 メイドさんを始め、女性の皆さんは私には目もくれずにリオネル様に熱い視線を送っていることを。


 そうこうしているうちにジャン先生のいらっしゃる診察室に着いた。
 王族お抱えのお医者様なので、定期的に王宮にいらして皆さんの診察を担当されている。