『いい? クラリス、あなたが女なのを負い目に感じなくていいのです。むしろ誇りなさい。賢く、そして強く生きる』
『お母様……』
『私は本当のお母様ではないけれど、それでもあなたのことを自分の子供だと思ってるわ。私がマルセル様に出会って幸せなように、あなたにもきっと幸せが訪れる』

 そんな風にいつも私の幸せを祈ってくれたお母様。
 数年前に病で亡くなってしまったけれど、私に女性の強さと矜持を教えてくれた人。


「私は国のためにどのような結婚も、また女王となる道でも受け入れます。その覚悟が出来ております。精いっぱいそのための努力と勉学をこれからも続けてまいります」
「クラリス……」

 国王とマリエット侯爵がしばらく考えた後、私のほうを深い眼差しで見つめてこられた。

「お前のその覚悟、確かに受け取った。お前はまだ17だ。相応しい者をきちんと見極めた上で結婚相手を探そう」
「ありがとうございます、国王」
「私も全力で尽力させていただきます」
「ああ、頼んだ」
「早速ですが、今後の方針として────」



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