婚約者を失ってからというもの、私は何もやる気が出ずに学園と家を往復するのみ。
 心にぽかりと空いた穴はそんなに簡単に埋まるものではなく、私はただひたすら生きるだけを考えていた。

 ディオン様が断罪されたあの後、国王とマリエット侯爵と私は一室で話をした。

 メイドがそれぞれの前に紅茶を置くと、お辞儀をして部屋を後にする。
 三人だけになったことを確認すると、国王は口を開いた。

「ディオンのことは残念だった」
「国王、愚息がご期待に添えずに申し訳ございませんでした」
「マルセルのせいではない。きちんと教育できなかった私に落ち度がある」
「いいえ、私が婚約者として他の女性に目移りさせたり、勉学を怠るのを止められなかったりしたせいです。申し訳ございません」


 部屋には重苦しい空気が流れていて、国王もマリエット侯爵も自分の責任だとおっしゃっている。
 申し訳ございません、私が女なばかりに……いえ、その考えはしないと約束しました。
 そう。今は亡きマリエット侯爵夫人──私の育ての母親と。